【全音ピアノピース】を弾く|No.7 紡ぎ歌/エルメンライヒ

「全音ピアノピース」ピアノを習ったことがある人は一度やどこかでお世話になっている楽譜なのではないだろうか。
好きなあの曲を1曲だけ、憧れのあの1曲だけ、挑戦したいあの1曲だけ……と、弾きたい曲を1曲単位で手軽に購入することができる全音楽譜出版社の優れたシリーズである。

✳︎全音ピアノピースサイト「全音ピアノピース物語」(公式) に詳しい歴史が記載されています 

ピアノピースの裏表紙には発刊済のピアノピースが一覧になっており、1曲購入するたびに「次は何弾こうかなぁ」(まだ買った曲を弾いてもいないのに!)とタイトルを眺め、フィーリングで印をつけていました。

高校生あたりになってからは、「曲集を丸々持っておいて損はない」という当時の先生の方針により弾きたい1曲があればその曲が含まれる曲集を基本的に購入していたので、ピースを買うことが暫く途絶えていました。

それが、なんでまた全音ピアノピースに再注目することになったかというと、面白い邦人作品が存在していることに気づいたから。
ピースという性格上、だれもが知る定番の曲のレパートリーが非常に多いにもかかわらず、演奏される機会が少ない邦人作品が何気なくレパートリーに肩を並べているのである!!

近年の(自分の中の笑)トレンドは邦人作品。「西洋音楽」という輸入ものを日本の音階や伝統音楽、祭りの音楽と美しく融合させているのがあまりに素敵で、その魅力に取り憑かれている。それで色々楽譜を探していたところ、全音ピアノピースに再び巡り合ったというわけです。

と、前置きが長くなりましたが、裏表紙を眺めているうちに「ぜ、全部弾いてみたい……」という無謀な欲望がむくむくと湧いてきたのでした。公式サイトによると現在のレパートリーは約500曲(!!!!)一体いつ全部弾けるのか、全部弾けないまま終わるのか(笑)全くわかりませんが、定番の曲から珍しい曲まで、さまざまな曲と出逢っていけたら嬉しいなと思っています。気長にお付き合いください。

さて演奏順ですが、「どうせなら1番から!」と息巻いたものの、No.1はベートーヴェンのピアノ・ソナタ(《月光》)なんですね。ちょっとしょっぱなから気合が必要すぎますね。息長く、気長にやっていきたいので(逃げ?)、「フィーリングで!」いきます。笑 現実的には楽譜が手に入ったもの、もともと保有しているもの、録音が見つかりにくそうなもの…から演奏していきたいと思います。

と言ったにもかかわらず、1曲目はこどもの発表会ではTHE★定番のこの曲からスタートです!
なぜ選んだかというと、こんなにも有名なのに自分は通ってこなかった道だから(笑)人気の秘密やいかに!?

▷No.7 紡ぎ歌/A.エルメンライヒ

A.エルメンライヒ Ellmenreich, Albert(1816-1905)

これだけ有名な曲にもかかわらず、彼について知る手がかりはほとんどなありません。すぐ手に入る参考情報はwikipediaしかなく、参考文献・資料の記載もない。
Wikipediaによるとエルメンライヒはドイツに生まれ、宮廷劇場の俳優・監督としてさまざまな地をツアーで回っていたそう。

この〈紡ぎ歌〉は《Musikalische Genrebilder Op.14(音楽の風俗画Op.14)》の中の1曲である。YouTubeで検索すると、日本国内外問わず、さまざまな人々の演奏動画が見つかるので、日本でも外国でも定番のレパートリーなのだろう。彼の曲で知られているものはこの〈紡ぎ歌〉1曲である、と言ってよい……

さて弾いてみて。
率直にいうと、私はあまり好みではない曲である(1曲目からスミマセン)。全体を通して軽快な糸車の音がリズムよく左手で伴奏として鳴っている……が、単調……。つまり、弾きやすい。初歩者にはぴったり。明るいメロディー、中間部に雰囲気が変化し、演奏時間も1分30秒そこそこ……と演奏会に向いている。1度聴いたら忘れない、簡潔でキャッチーなメロディーも魅力なのだろう。
「好みでない」というのは個人の感想にすぎない。発表会で初歩者が演奏するには、難しい技術を要せず、そこそこ聴き映えもする曲なので、定番曲になっているのも納得ではある。まぁでもやっぱり単調なのよね……初級曲では仕方がないですね。そして最近、自分が、近現代ものを聴いたり弾いたりすることが多いので、和声や響きに物足りなさを感じているだけだとは思います。

次回は

No.108 子供の遊戯/B.Wolff

を演奏します。

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