【今日の1冊】レスピーギ ピアノ曲集2/O.レスピーギ/全音楽譜出版社

【今日の1冊】レスピーギ ピアノ曲集2/O.レスピーギ/校訂・解説:関孝弘/全音楽譜出版社(2005)


レスピーギ。これはもう間違いなく“ローマ三部作”の人である。
彼の壮大な管弦楽曲に反する(?)、その存在の薄さは以前 suketto がブログに書いております。→【明日なに聴く? | 今日の1曲】オットリーノ・レスピーギ:ピアノのための6つの小品

さてレスピーギの愛した故郷イタリアから遠く離れたこの日本で、全音楽譜出版社からレスピーギのピアノ曲集がなんと2冊も出ているのだ!しかも2巻に関しては、本国イタリアを差し置いて世界初出版だという……2冊揃えば彼のピアノ曲のほとんどを網羅できるとのことである。

なお、すでに持っていた輸入版のレスピーギのピアノ曲集の収録曲とほぼ被っていたため、1巻は持っていない。

2巻は彼の個性的な小品がたっぷり収録されている。
ボローニャ市立音楽図書館、ヴェネツィアのチーニ財団の協力を得て、眠っていた自筆譜をもとに校訂・編集されており、前述の通り世界初出版となる。レスピーギの母国イタリアでもピアノ作品の出版はほとんど進んでいないというので、この未出版作品群を集めた曲集はレスピーギファンにとっては待望のものであろう。

古いものは学生時代である1890年代に書かれている。レスピーギ自身は音楽院のヴァイオリン科と作曲科に在籍しており、学生時代から自身の作品を発表していた。ピアノ作品は自身の演奏で発表していたようだが、ピアノ演奏については師匠はおらず、「楽しみにのためにピアノを独学した」と語っていたそうだ。

私がレスピーギの作品を好きな理由は、やはりその懐古趣味 ー趣味という言葉を使うには洗練され過ぎているがー の中に光る近代的な響き、そしてこれぞイタリアだ、という叙情的なメロディーにうっとりするからだ。この曲集に収録された小さな1つ1つの作品も、例に漏れずレスピーギの魅力が詰まっており、若さが見られる作品もあるものの、青年期からレスピーギの豊かな音楽性がよく表れていると思う。

技術的には中級1〜上級1あたり。オクターブ以上で書かれた部分、内声と外声を弾き分ける部分も多く、手の大きさと柔軟性は必要。ピアノは独学であったためか、多少弾きにくい部分はあるように感じた。短い曲の中でも表情がガラリと変わることも多く、満足度の高い曲が並ぶ。古典・ロマン的な形式を基盤に、豊かなメロディーが歌い、近代的な和声や印象主義的な色彩を持つ音が自由に差し込まれている音楽は、他の作曲家では変え難く魅了されること間違い無いでしょう。
無言歌といって差し支えないくらい美しいメロディーを持つ曲があれば、オーケストラのような重厚さを感じられる曲もあり、偉大な管弦楽作曲家としてのレスピーギから、繊細なメロディーメーカーである彼の姿までたっぷりと味わい尽くせる作品集となっている。

中上級者以上の方のレパートリーとしていかがでしょうか。イタリアロマン溢れる作品たちをお楽しみください。

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