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> A.I.ハチャトゥリアン
> こどものアルバム 第1集“少年時代の画集”
概要 |
「こどものアルバム」というタイトルが付けられているが、初級段階を終了し中級に差し掛かるこどもからなら使える曲集であり、初心者向けのものではない。導入〜初級の教則本を使ってひととおりのメソードを修了し、ソナチネやバッハに進んでいるレベルが望ましい。 10曲のうち、第1曲のみ1926年に作曲された若い時代の作品で、残りは1947年の作品である。 それほど複雑なつくりになっているということはなく、調性も感じられる中で現代曲のエッセンスが詰まっている、現代曲の取り掛かりにちょうど良い曲集である。リズムや和声、フレーズ構成1つとっても古典、ロマンの時代とは異なっていて面白く感じられ、新鮮な響きを味わえるだろう。 現代作品の曲集に対しては「現代曲の響きに忌避感も……」というような評価がされがちだが、現代作品と言っても現在(2023年)から見るとすでに100年前の作品であり、今どきのポピュラーに聴き慣れているこどもたちや、現代に生きる作曲家がこども向けに作っている作品を学習している生徒にとっては抵抗はないようである。ただ、臨時記号が多いので読譜が極端に苦手だと技術的な面で厳しい。ミクロコスモス等の現代教本で(ミクロコスモスでいう)3〜4巻あたりを学習中ならさほど抵抗なく演奏できると思う。 技術的には難易度は全て「初級2」だが、臨時記号に不慣れだと難易度は少し加算される。 旧ソヴィエト出身のハチャトゥリアンであるが、コーカサス地方の生まれであるためその音楽性はロシア的というよりも中央アジア的である。トルコやイランといった中東方面と接しているコーカサス地方の音楽は唯一無二の香りを持っており、比較的やさしい作品でそんな音楽に出会えるのはこの上なく幸せなことだとつくづく感じる。 |
おすすめ |
7.木馬:リズミカルで怪しげな雰囲気。弾きやすさも◎。 9.バレエのひとこま(インベンション):ヒリヒリする美しさはこの曲集随一。 |
曲名 | 難易度 | YouTube |
曲説明・解説・コメント・練習のポイント など |
小さな歌(アンダンティーノ) | 初級2 | ♫ |
[1]序奏。[2]から歌が始まる。その歌は、4小節で1まとまりになっている。 4段目からはまた主題に戻ってくる。冒頭はC↓Gと下行するのに対し、主題の再現ではC↑Gと上行している。その後続く主題も冒頭より1オクターブ上である。高い声で歌っている(別の人が歌っている)という意識で。左手の伴奏形も前半よりもリズミカルである。少し動きを持って。バスの中に内声の響きをまとめて。バスは半音階進行で下行。よく聴いて。 最終小節はCの和音の第3音が抜かれていて、調性が見えづらい。長調・短調、どちらにも転べる、宙に浮いた感じや解放感をもって。 (1”20) |
スケルツォ | 初級2 | |
お友だちは病気 | 初級2 | |
誕生日のパーティー | 初級2 | |
エチュード | 初級2 | |
昔のお話 | 初球2 | |
木馬 | 初級2 | ♫ |
回転木馬=メリーゴーランドのことだろう。 右手で刻むなんとも無機質で硬質な伴奏が、木馬が一定の速さで回っている様子を想起させる。メリーゴーランドの木馬は上にも下にも動く。高いところで少し緊張する。低いところで余裕が出て、両親におーい、と手を振る。そして見えなくなる。高さを変え登場するメロディーは色々な場面を想像してドラマチックにたっぷりとアクセントをつけて弾きたい。スラーの記載のあるところ以外はノン・レガート気味で良いと思う。最後3段は終わりの時間が近づくメリーゴーランドそのもの。だんだん、機械的に、ぎくしゃくと、回転が緩んでいく様子を表現できる。 (1”19) |
フォークダンス(ギャロップ) | 初級2 | |
バレエのひとこま(インベンション) | 初級2 | |
フゲッタ | 初級2 | |