「読む」音楽

音楽にまつわる小説やエッセイ、漫画など「読む」音楽を紹介します。
弾かなくても、聴かなくても、音を読んで楽しむ。これもまた音楽なり。


のだめカンタービレ(全25巻)

二ノ宮知子

講談社

言わずと知れた名作漫画。天才的なピアノの才能を持つ主人公・のだめ(野田恵)と指揮者を目指す千秋(千秋真一)を中心に、クラシック音楽に情熱を傾ける若者たちが織りなす青春群像劇。全体は(かなりの)コメディタッチで描かれておりクラシック初心者もどんどん引き込まれること間違いないが、クラシック音楽を真っ正面から描き切っており、いつ読んでも何回目であっても胸が熱くなる。のだめと千秋の恋愛模様も見応えがあり、2人の葛藤にこちらも喜怒哀楽、感情が揺さぶられる。まずはこれを読め。


ぷれりゅうど

芥川也寸志

筑摩書房

作曲家・芥川也寸志によるエッセイ集。1つの話が4ページ程度のかるいもので、これがまた文章がうまい。すいすいすい、と音楽を聴き流すように読み進めてしまうのである。自伝も非常に面白く具体的で、今では考えられないような大戦前後の音楽家の生活が記録されており貴重。JASRACの元理事長なだけあって著作権の話も登場するのだが、「著作権に、いつもどことなく温かなぬくもりを感じる(p.59)」という一文で涙してしまった(父・芥川龍之介の死後、父の著作権料で不自由なく暮らせた過去を踏まえて)。私はこの本をきっかけに、いつも面倒ごと扱いされる著作権について改めて考えるようになった。