J.ピシュナ:60の技巧練習曲(指の訓練のための練習課題)

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概要
チェコ出身の音楽教育者だったピシュナが作曲した練習曲集。
1〜3本の指は鍵盤を押さえたまま固定し、そのまま他の指を動かして打鍵し、各指の独立を目指す課題が中心。楽曲の中に登場する要素を2〜3音単位で抜き出して部分的に、徹底して反復することで身につける。
◯1つの課題中でどんどん転調していくのであらゆる調に対応する弾き方が練習できる。
(◯純然たる機械的な練習曲なので音楽的に聴こえる必要はないのだが、押したままの鍵盤のおかげで他の音を鳴らした際に共鳴が起こりピアノが美しく鳴る。本来の目的の方向性とは違うが、響きが美しいので意外にも味わえる。)
△練習のバリエーションを増やすと、1曲練習するだけでも20〜30分程度掛かり、しかも同じ曲を弾いているわけなので、まぁ面白みがない。レッスンでどうするこうする、という曲ではなく、日々の習慣として行う練習なので仕方ないが。
△脱力して弾けなければ手や腕を痛める。脱力できればその心配はない。
練習方法
音友版に記載されている通り、各々の課題や悩みに合わせて選択されるべきなので以下も一例に過ぎないが、ただ楽譜をなぞって弾くだけでは効果が薄れるので、具体的な練習方法を紹介する。
①保持音以外の音にアクセントをつけてマルカートで弾く。lent で演奏し、1音ずつ弾くたびに脱力して、弾き終わった指は鍵盤に残さないよう意識して弾く。
②付点リズム変奏。付点のある音の方にアクセントをつけて弾く。①に同じく、アクセントをつけて弾いたらすぐ脱力する。
③逆付点リズム変奏。弾き方は②に同じ。
④スタッカートで弾く。どの音も均質に、長くなったり短くなったり、強く飛び出たり弱くなってしまったりしないように弾く。
legato で演奏。あまり指を立てないで、柔らかい音で弾くが、弾く音が前後と被らないように。
①〜⑤を全て演奏して所要時間20分程度。なお、上の課題は課題をこなす方の手(弾くのが大変な方の手)と反対の手はアクセントをつけず、legato で奏する。リズム変奏時は両手のリズムを揃える。
なお各版は以下の通り。
【Ricordi 版】
曲によりリズム変奏の例が記載されている。アクセント付きのもの、付点リズム変奏が中心。
【全音版】
各課題に解説付き。予備練習について中心に触れている。手の大きさなどに応じで指番号の提案がある。リズム変奏の例が記載されている課題もある。
【音友版】
練習方法は各自が必要に応じて考えるべき、と記されており、ほとんどオリジナルのままの収録となっている。具体的な練習方法の記載はない。
曲名難易度YouTube
曲説明・解説・コメント・練習のポイント など
1.
右手、3-5指の独立。
2.
左手:4-5指の独立。
3.
右手:3-4指の独立。
手の小さい人は保持音を1-5で弾いて、内声(動く音)は2-3で弾く。
4.
左手:3-4指の独立。
手の小さい人は保持音を1-5で弾いて、内声(動く音)は2-3で弾く。
5.
右手:4-5の独立。
なぜか1〜3番の課題より簡単に思える。私は3番の指の独立が完全でないのかもしれない。
6.
左手:1-2の独立。パワーはあるが鈍い指・親指を素早く打鍵・離鍵することに注意。
7.
右手:3-4-5の独立。
8.
左手:手をオクターブに広げた状態で1-5の各指を独立させる運動。
9.
右手:手をオクターブに広げた状態で1-5の各指を独立させる運動。
10.
両手:音階を弾く際の「指くぐり」の部分を取り出した課題。
親指を支点に指くぐりを反復、反復、反復……こんなに指くぐりだけ練習したことないよ。
11.
右手:手をオクターブに広げた状態で1-5の各指を独立させる運動。
左手:3-4-5の独立。3-5は重音なのでこれまでより難しい。
12.
右手:2-5の独立。
左手:1-4の独立。
13.
右手:3-4-5の独立。3-5は重音なので難しい。
左手:手をオクターブに広げた状態で1-5の各指を独立させる運動。
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|参考文献・楽譜・webサイト

〈文献〉

  • 千蔵八郎『ピアノ学習ハンドブック』春秋社、1989年。

〈楽譜〉

  • Pišna, Josef. 60 Progressive Exercises. Edited by Marciano, Ernesto. Ricordi. 1919.
  • ピシュナ、ヨセフ『ピシュナ 指の訓練のための練習課題』伊達純 校訂、音楽之友社、1981年。
  • ピシュナ、ヨセフ『ピシュナ 60の練習曲』坂井玲子 校訂、全音楽譜出版社、2007年。

〈webサイト〉