ホーム > 参考書 > 西洋音楽史「クラシック」の黄昏
|基本情報
著者:岡田暁生
発行:中央公論新社
初版:2005年10月
243ページ
|内容
西欧音楽史における18世紀後半から20世紀前半、一般的にはこの時期の音楽が「クラシック音楽」と呼ばれている。本書は、「クラシック音楽」の歴史を、前史である中世〜ルネサンス〜バロックというの流れからどう「クラシック」に至ったのか、そして「クラシック」の崩壊へーを語っている。
|コメント
長く楽器をやっていても「西洋音楽史」の流れをきちんと把握できている人はなかなかいないのではないだろうか。取り組む楽曲に関連する時代、特定の作曲家の勉強はしても、西洋音楽史の大きな流れを俯瞰したことはないー
はい、もちろんまだまだ不勉強な、私のことでございますが……
いや、まぁ弾く曲や作曲家については調べたり勉強したりはしますけど、クラシック音楽という大きな枠組み、ましてやそれ以前の音楽について正面から向き合ったことはなく(おいおい)。
細かいことは別の本でよい、もっと大きな流れを一望できるものはないのか。そこでこの『西洋音楽史』である。タイトルからして一望できそうな香りがムンムンなのだが、中身の方も間違いないのでご安心を。特に知識や勉強が薄くなりがちな中世〜バロックもしっかりフォロー。「クラシック音楽」「ベートーヴェン」「モーツァルト」などなど、誰もがよく知るゾーンに至る過程がわかりやすく記されている。語り口も気軽なものであり、著者の岡田さんの個人的な趣味も垣間見れて非常に読みやすい。「一般の愛好家たちに向けて」書いたものだというが、音楽の道でやってきた人にも満足いただけると思う。(むしろ一般の愛好家ってこの本を手に取ってみよう!と思える知識と興味を持っているんだ!?す、すごい。販売サイトでも愛好者と思しき方々から沢山レビューがあるので、皆さん詳しいんだな…。)
「クラシック音楽」と言っても書かれた当時はゴリゴリの最前線、前衛音楽、最新ヒット曲だったわけで。そんな最新「だった」音楽が2−300年経っても人々から愛され、「古典」などと呼ばれながらも今なお人気である…私は「クラシック音楽」のそんなところが不思議で、面白くて、たまらない。そんな古いもに心を砕いている1人なのである。こんなに古い曲を、最新の一流の音楽家たちが新たに録音し、新譜を出し続けている…かつての大作曲家たちも想像できなかっただろう。