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概要 |
「クラヴィーア愛好者、とりわけ熱心に授業を望む者にとっては、ただ2声部を精確に奏するのを学ぶだけでなく、さらに進んではオブリガートの声部を正しく適切に処理し、また同時に良いインヴェンション(創意、着想)を獲得するだけでなく、それを適切に展開し、とりわけカンタービレの奏法を会得し、またそれとともに作曲についてのしっかりとした予感を得るべく、はっきりとその方法が示されている誠実な手引。」 – アンハルト・ケーテン公爵の楽長、J.S.バッハにより製作される。1723年。 上はバッハ本人が書き残したまえがきである。 この曲集は、バッハのケーテン滞在時代(1717-1723)にまとめられたもの。この時期はアンナ・マグダレーナと再婚し、領主の理解と信用も得ることができ、精神的に非常に充実していた。前任地のワイマールで世俗音楽への情熱が育まれたことを下地に、さらには息子たちや弟子たちへの音楽教育の時期に適していたこともあって教育的作品が次々と生み出された。 それらの教育的クラヴィーア教本に含まれているのものを整理・推敲し、調性順に配列されたものが《インヴェンションとシンフォニア》である。インヴェンション、シンフォニア、それぞれ15曲ずつ・全30曲の曲集だ。「インヴェンション」とは「創意・工夫・着想」の意味であり、「シンフォニア」は「ともにひびく」といった意味で、特別の形式を指す用語ではない。 バッハ作品の中で比較的初級者にも演奏される機会が多いこの曲集だが(かく言う私も初めてのバッハはインヴェンションである)、音が少なく短い曲にシンプルな美しさやバッハの「歌い方」がつまっている極めて芸術的作品集である。大人が弾いても一層味わい深く、譜読みに煩わされることもないので深く掘り下げたり、別の一面が発見できたりする。 |
おすすめ作品 |
♫シンフォニア第12番BWV798 |
曲名 | 難易度 | YouTube |
曲説明・解説・コメント・練習のポイント など |
第1番 ハ長調 BWV772 | ||
第2番 ハ短調 BWV773 | 初級2 | ♫ |
★なめらかに、カンタービレの奏法で演奏する。 ★厳格なカノンで書かれている。左右どちらのパートも平等に独立して弾けるように。 息の長い主題は頂点をどこに持ってくるのか、終わり方はどう弾くのかをしっかり計画を立てて弾きたい。何も考えずに弾くとフレーズ感のない演奏になる。主題の最終音はEsであり主和音の第3音なっていて終止感に欠ける。調性の間を彷徨っているような主題を特徴づける要因の1つになっている。堂々と奏さず、どこかへ消えてゆくように。 |
第3番 ニ長調 BWV774 | ||
第4番 ニ短調 BWV775 | ||
第5番 変ホ長調 BWV776 | ||
第6番 ホ長調 BWV777 | ||
第7番 ホ短調 BWV778 | ||
第8番 へ長調 BWV779 | 初級2 | ♫ |
★3拍子の中で演奏する。特に主題の入りは裏拍なので重たく弾かないよう気をつける。 ★16分音符で形成された細かいパッセージを美しく弾く。両手ともに16分音符の箇所は美しく粒を揃え、6度の響きのバランスを考えて弾こう。 カノンで書かれたシンプルで快活な美しい曲。8分音符でファンファーレのように高らかに上行したのち、16分音符で一気に下行しているように、前半と後半の動機が対象的な主題をもつ。Fから始まり1オクターブ上のFまで上り、また元のFまで綺麗に下りてくる。 第1展開部:[1]-[12]へ長調 第2展開部:[12]-[25]ハ長調,ト短調 第3展開部:[26]-[34]変ロ長調,へ長調 上記の調で主題が置かれる。なお第3展開部の変ロ長調は主題の前半部分が省略されている。主題の始まりの部分が提示されないことで落ち着いた区切りを与えず、曲の終わりへと向かう勢いが付けられているように思える。 [32]-[34]は上声部のB-A-G-Aのラインも聞きたい。最後の音が3和音で終わっているのでずっしりとした終結部分になっている。《インヴェンションとシンフォニア》に収録されている曲の中で主和音の3つの音が全て揃っている状態で終わる曲は、〈インヴェンンショ第1番〉とこの〈第8番〉のみである(他は単音、または1音欠けた和音)。主和音にふさわしく堂々と弾きましょう。 |
第9番 へ短調 BWV780 | ||
第10番 ト長調 BWV781 | ||
第11番 ト短調 BWV782 | ||
第12番 イ長調 BWV783 | ||
第13番 イ短調 BWV784 | ||
第14番 変ロ長調 BWV785 | ||
第15番 ロ短調 BWV786 | ||
第1番 ハ長調 BWV787 | ||
第2番 ハ短調 BWV788 | ||
第3番 ニ長調 BWV789 | ||
第4番 ニ短調 BWV790 | ||
第5番 変ホ長調 BWV791 | ||
第6番 ホ長調 BWV792 | ||
第7番 ホ短調 BWV793 | ||
第8番 へ長調 BWV794 | ||
第9番 へ短調 BWV795 | ||
第10番 ト長調 BWV796 | ||
第11番 ト短調 BWV797 | ||
第12番 イ長調 BWV798 | ||
第13番 イ短調 BWV799 | ||
第14番 変ロ長調 BWV800 | ||
第15番 ロ短調 BWV801 | ||