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> トンプソン 現代ピアノ教本 1
対象年齢 |
《小さな手のためのピアノ教本》から続ける場合は何歳でも。 この巻から始める場合は小学校3・4年生くらいから。 |
初めて学習する要素 |
-付点4分音符・16分音符・8分休符 -6/8拍子 -rit.・legato・スタッカート・アルペジオ・アクセント・フェルマータ・テヌート -ppp・pp・p・mp・mf・f・ff・クレッシェンド・デクレッシェンド -ハ長調・ト長調・へ長調・ニ長調・イ長調・ホ長調・変ロ長調・変ホ長調・変イ長調 |
総評 |
・楽譜を「パターン」で読むことに主軸を置いている。音を一音一音バラバラに読む方法は全く音楽的でないし、譜読みが苦になりピアノが面白くなくなる。ザっと楽譜をみて、大きな枠でフレーズやリズムを読み取る力は初歩の段階から身につけるべきだと思うので、この教本の方針は非常には大いに賛成である。 ・基本の5本の指の位置パターンを学び、第2の位置…第3の位置…と手の位置を他の調にも移行していくので、指番号が固定される(ド=1、レ=2…)心配がない。初級から手の位置移動が多い教本の方が珍しいと思うけれど、本書では、新しい手の位置が出てくるたびに紹介されており、どの指で、どの位置で、どの鍵盤を弾くのか生徒に5指の位置をしっかり意識させている。 ・ハ長調から始まり♯4つ、♭4つの調まで登場するので、黒鍵を使う曲にも早いうちから触れられて良いだろう。 ・楽典説明のページは小難し目の説明になっているので、年齢の低い生徒には多少端折ったり、説明をかみくだいたりする必要あり。 ・1冊の収録曲数が多いのも使いやすいポイント。 |
曲名 | 難易度 | YouTube |
曲説明・解説・コメント・練習のポイント など |
ピアノのくに | 入門2 | |
フレーズを意識する。 |
きちんとね | 入門2 | |
メロディーのパターンを見分ける。 |
さらさら小川 | 入門2 | |
3/4のリズムにのる。3拍子のアクセントを意識できる歌詞がついている。 |
町かどのおまわりさん | 入門2 | |
メロディーのパターンとフレーズを見つける。 |
白鳥 | 入門2 | |
演奏記号が一気にたくさんでてくる。意味の記載あり。 |
〈半音/全音〉 | – | |
半音・全音・シャープ・フラット・ナチュラルについて。 |
はさみとぎ | 入門2 | |
臨時記号の登場。クレッシェンド・デクレッシェンドをつけて、表情たっぷりに。 |
キャンデー | 入門2 | |
ト長調。ファ♯は出てこない。 |
月のこびと | 入門2 | |
メロディー・伴奏のパターンを見つけよう。 |
パーティーごっこ | 入門2 | |
短いメロディーパターンの組合せ繰り返しだが、アウフタクトによりメロディーに躍動感がある。最後の「グッ・バイ」がいい。 |
★フレーズの弾き方★ | – | |
フレーズを弾くときに、手首を「ドロップ(おろす)&ロール(あげる)」する練習。 あとあとやろうとしてもガチガチの手首はそうそう直らないので、ここからしっかりやると良いと思う。 |
こまどり | 入門2 | |
ドロップ&ロール実践。 |
ゆかいなピエロ | 入門2 | |
左手のドロップ&ロール。右手スタッカート登場。 |
カッコーさん | 入門2 | |
よく知る『かっこう』。 |
城壁をのぼる | 入門2 | |
ハ長調音階練習(上昇)。指くぐりはせず、両手で分けて弾く。 |
鐘の音 | 入門2 | |
ハ長調音階練習(下降)。こちらも指くぐりなく、両手で分ける。 |
とび石 | 入門2 | |
半音の進行が可愛らしい一曲。 |
〈和音の構造〉 | – | |
理論的理解するの難しいかもなので、弾いてみる程度で良いかもしれない。 |
山のぼり | 入門2 | |
分散和音でできたメロディー。 |
和音のあそび | 入門2 | |
へ長調の和音の練習。 |
妖精のハープ | 初級1 | |
アルペジオの登場。 |
おほしさま | 入門2 | |
8分音符登場。 |
ぼくのふね | 入門2 | |
8分音符フレーズ弾く練習。よく知る『ちょうちょう』だが、フレージングが違うところがあり新鮮。 |
春の口笛 | 初級1 | |
イ長調登場。♯3つだが、ポジションの移動がほぼないので弾きやすい。 |
舞い落ちる木の葉 | 入門2 | |
スタッカートとレガートを弾き分ける練習。 またppからffまでダイナミクスも幅広く記載されているのでpやfのコントラスト(音量だけでなく、音色も)も意識して弾こう。 |
オランダのダンス | 入門2 | |
1拍目の「踏み締め」を意識した>(アクセント)をしっかり付けて、軽いだけでなく生き生きとした舞踊を演奏しよう。 |
妖精の宮殿 | 初級1 | |
女王陛下の御前パート、行進曲のパート、はっきりと差をつけて演奏しよう。へ長調の重音の伴奏パターンを練習する。 |
きつつき | 初級1 | |
最初から最後までスタッカートが続く曲。 『きつつき』なので短め・硬質なスタッカートで弾きたいが、指先だけ硬くし、手首は硬くならないように。リラックスして連打のスタッカートをできるように。 |
ナイトとレディ | 初級1 | |
イ長調の基本的な和音の伴奏を学ぶ。 |
モーツァルトの曲から | 入門2 | |
付点4分音符を習得する。最初は多少不正確でも構わないので、付点の「ずれる」感じに慣れていこう。 |
小さなワルツ | 入門2 | |
上に同じく、付点4分音符の練習。 |
夜のうた ノクターン | 入門2 | |
変ロ長調。右手は息の長いフレーズをしっかり意識して。 左手はバスを大事に弾く。ただし右手メロディーを邪魔しないように。 |
青がんばれ | 入門2 | |
6/8拍子の登場。まずは6拍数えられるように。 慣れてきたら大きな2拍子で捉えて弾こう。 |
かっこう時計 | 入門2 | |
6/8拍子。スラー手首の動き(ドロップロール)の練習。 |
歌うねずみ | 入門2 | |
6/8拍子。 |
バースデー・ケーキ | 入門2 | |
D.S.とFineの登場。似たリズム・メロディーを繰り返しているが、そのちょっとした変化をどう弾くか。 |
ポップコーン屋さん | 入門2 | |
D.C.の登場。前半・後半で転調し、2つの手の位置使って弾く。 |
メリーゴーランド | 入門2 | |
前の曲同様、2つの手の位置を使って弾く。 |
スペインのフィエスタ | 入門2 | |
シンコペーション練習。ピアノ弾く前によくリズム練習すること。 リズム・アーティキュレーションをはっきり出さないと、少しダラダラした曲になってしまう。 |
キツネ狩り | 入門2 | |
現代では想像つきにくいかもしれないが、ここでいう狩りは「娯楽」や「スポーツ」としての狩り。銃で撃つのではなく、馬でキツネを追い回して楽しむのである。 冒頭は狩りの開始を合図するホルンなどの楽器をイメージした。 |
シリアに寄せて | 入門2 | |
”Drink to Me Only with Thine Eyes”というイギリス歌曲が原曲。ベン・ジョンソンの詩『Song.to Celia(シリアに寄せて)』が元になっている。歌詞の内容から「シリア」とは国名でなく、人名だと思われる。 非常に良い曲なので、原曲もぜひ聴こう。YouTubeで聴けます。 |
かえるのコーラス | 入門2 | |
音の高さで「若い蛙」と「年とった蛙」を表現。はっきりと違いを意識できると良い。 |
そり | 入門2 | |
重なった音をスタッカートで連続して弾く練習。指先・手の平は固く保ち、手首を柔らかく弾ませて弾こう。 |
小さなボウピープ | 入門2 | |
変ホ長調。 使う黒鍵の数が増えるので、弾き始める前に使う黒鍵の場所に合わせて手の位置を確かめよう。 |
夕べの鐘 | 初級1 | |
腕を使って連続した和音(重音)を弾く。 まずは2つの音がバラバラにならず、ピッタリ弾けるタイミングを探る。 1音1音鍵盤を押し込むのではなく、『指は鍵盤上に軽くあてたまま~ ひじから前の方におすように』(※本書より引用)弾く。 音が鳴ったあとは手首から腕までゆったりと力を抜こう。 |
お百姓さんのダンス | 入門2 | |
ホ長調。黒鍵の位置を基準に手の場所を調整して。 左手の和音(重音)は《夕べの鐘》で取り組んだ弾き方でよく響かせる。 |
なつかしいむかし | 初級1 | |
右手、同じ音での指替えに注意。取り出して練習するのも良い。 左手はまずは和音で捉える。分散和音であってもひとまとまりごとにどんな音を弾くか把握する習慣をつけていこう。一見音数が多くても、この曲では2つの和音パターンしか使われていないことがわかる。 |
きよしこの夜 | 初級1 | |
右手は3つ、手の位置を変えるので弾き始める前に確認。 手の位置の移動がスムーズにいかないときは、新しい手の位置の1音目で止まる練習をすると良い。その時、テンポを落としても良いので必ず拍通りに1音目に入ること。移動があるからといって変な間を空けてはいけない。 |
鍵盤のあそび | 初級1 | |
音階を指くぐりなしで、両手で分けて弾く。 この曲も手の位置を移動する良い練習になる。 |
特急列車 | 入門2 | |
2分音符→4分音符→8分音符と音価が変化することで、列車が動き始めてからスピードを上げていく様子がうまく表現されている。決して急いだりせず、テンポを守って弾くことでうまく効果が発揮されるでしょう。 |
摩天楼に寄せて | 初級1 | |
変イ長調。鍵盤を広く使うので、お尻(骨盤)にかかる体重移動の練習をしよう。 腕をピンと伸ばしたり、座る位置を途中でずらしたりしないように。 手の移動に伴って身体全体も同じ方向へ体重をかけよう。 広く使う鍵盤が、高い高い「摩天楼」を表しているようである。 中間部のpp部~mfにかけて、雲にかすんでいた摩天楼が、雲が晴れてだんだん姿をくっきりと表したかのようである。 |
ダブリンの町 | 入門2 | |
単純なつくりの曲だが、中間部で調を変えていることで明暗がはっきりとしてよい効果もたらしている。 左手持続音はよく響かせて弾こう。 私が小説で読んだダブリンの町は、あまり明るいイメージないのだが……。この曲はダブリン(=都会)にお洒落して出かけたい!(でも行けないので仕方ない。田舎で楽しく歌って踊って過ごそうじゃないか)ということらしい。 |
ジョン・ピール | 初級1 | |
16分音符登場。急にレベルが上がった感が否めないが、《小さな手のためのピアノ教本》同様次巻への導入なのだろう。 手の位置がころころ変わるので、手の位置のグループごとに整理しながら譜読みしよう。 |
〈技術的な練習問題〉 | – | |
本書収録されている曲で使用するテクニックが一覧で載っているので、最後にまとめて弾くよりも、該当の曲を習う時に並行して練習すると良いでしょう。 【参考:どの曲と一緒に練習する?】 (1)特急列車 (2)きちんとね (3)さらさら小川 (4)町かどのおまわりさん (5)こまどり・ゆかいなピエロ (6)カッコーさん (7)城壁をのぼる (8)白鳥 (9)鐘の音 (10)山のぼり・和音のあそび (11)妖精のハープ (12)バースデー・ケーキ (13)スペインのフィエスタ (14)夕べの鐘 (15)そり (16)ダブリンの町 |