〈カワイこどもピアノコンクール〉の課題曲として委嘱された曲集。安倍美穂・名田綾子・山下祐加・可知奈尾子・森山智宏の5名の作曲家による。「身近な動物」「アジア等の動物」など、作曲家ごとにテーマとしている動物が異なっている。
コンクール委嘱作品としての色合いが強いため全体的に短い(1分弱〜1分半程度)の曲が多く、(持ち時間にもよるが)発表会で弾くには2曲の組み合わせなどが良いと思う。
曲名 | 難易度 | YouTube |
曲説明・解説・コメント・練習のポイント など |
【ソロ】
なきむしカラス/安倍美穂 | 入門2 | ♫ |
[A][B][A]の構成。随所に現れる両手を隔たる4度5度の響きが日本風である。2拍子を感じてリズムよく弾きたい。 [11][12][15][16]隣り合っている音同士のバランスを考えよう。わざと「耳触り」になっている音をどう出すか。 [20]場面転換のためのrit.。音が消えた後、ほんの少しだけ間を空けてみてはどうだろうか。完全に場面を変え(時間も経ったイメージ)てから[A]に戻ると、テーマがよりイキイキと聴こえるはず。 4度・5度の音程の部分は、バランスを取る、というよりは拮抗させて、ぶつけて響かせるのが私は好きです。 |
【連弾】*難易度欄記載のレベルはプリモパートのもの。セコンドパートのレベルは初級〜中級だが、指導者等の大人が弾くことを前提にしている内容(オクターブがあるなど)。
くじゃくのダンス/可知奈尾子 | 入門1 | ♫ |
曲集の表題になっている曲。 かなりゆったりとしたテンポで弾くため、両パートともに息の長いフレーズをしっかりと歌う必要がある。フレーズの終わり・盛り上がりがどこにあるのか、常に先を見ながら演奏しよう。上行の音型がくじゃくの羽の広がりを想像させる。和音が微妙に変化するので、色とりどりの羽の色を想像しながら弾く。最後3小節は広がった羽がスっと閉じてゆく。羽が広がるまでは期待感をこめながらたっぷりと時間をかけたのと対称的に、美しいものは終わるのが一瞬である。控えめながらくじゃくのダンスが鮮やかに想像できる良曲。 〈プリモ〉単旋律・ユニゾンがほとんどのため、しっかり歌わせる。次の音へ移る際、ぎりぎりまで保って。フレーズの始まりが休符から(アウフタクト)なので1音目が重たくならないよう注意する。[8][9][10]おなじソの音から始まる上行音型を重ねる。計算してcresc.を。セコンドとの入れ替わりながら、共にfに向けて盛り上げる。 〈セコンド〉右手がノンレガート指示なのが面白い。曲調からするとレガートでも合いそうだが、そうじゃないのがポイント。どきどきとした緊張感、これから美しい羽が開く前の緊張感があり、美しい序奏となっている。ゆったりとしているがあくまで「ダンス」であるので、この流れのある伴奏を静かに、生き生きと弾きたい。 |