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フランツ・リスト
Franz Liszt
1811-1886
ライディング(現在のオーストリア・ブルゲンラント州)生まれ。7歳頃からピアノを習い始めたが、すぐに才能を開花させ、9歳には演奏会を開くまでになった。演奏・作曲の勉強のためにハンガリーを出て、ウィーン、パリ、イギリス、イタリアなどヨーロッパ各地で活動した。活発な作曲活動と並んでピアノの技巧にも磨きをかけたリストは、ヴィルトオーゾとしてヨーロッパ全土で有名となった。我々のよく知る、「熱狂的な女性ファンに囲まれるリスト」ここにあり。
30代も後半に差し掛かった頃、長年演奏旅行で各地を転々としてきて流石に疲れていたリストは演奏活動から退き宮廷楽団を指揮し、自身のオーケストラ曲、ピアノ曲を精力的に発表する生活を送るようになる。この頃書かれたピアノ作品が《3つの愛の夢》や《超絶技巧練習曲》である。
1960年代、ローマに留まることにしたリストは、この地で深い信仰心に目覚め、僧となる。それに伴い宗教的な作品も数多く作曲されることになった。これもまた、私たちのよく知る「宗教的な色合いを強めたリスト」。
その後もピアノ教授、作曲活動、と晩年も精力的に音楽活動を続けたリストだったが、1886年バイロイトで肺炎にて亡くなった。
その音楽史上の功績や曲について、そして人間そのもののエピソードを追っていくと何文字あっても足りないところだが、ピアノ作品に絞って考えると、まずは一般的なイメージである「超絶技巧の人」で間違いないだろう。
自身も卓越したピアノ技術を持っていたリストは自分のために曲を書くことができた。また、ただ難曲であるだけでなく、文学的な作品をモチーフにしたもの、新しい技法を取り入れているもの、ジプシー音楽から影響を受けているものなど幅広い表現を用いている。美しい旋律を生み出すことにも非常に長けており、生粋のメロディーメーカーであることも彼の大作曲家たる所以であろう。
また、晩年のリストは全音音階、不協和音を積極的に取り入れたり、自ら「無調を目指した」と称するピアノ小品〈無調のバガテル S.216a/ R.60c〉も作曲したりしていた。晩年にして一足先に次の時代へ踏み出しているのである。(この作品は初めて「無調」を標榜した音楽作品だと言われている。)
自身もヴィルトオーゾとして活躍、作曲家として夥しい数の作品をのこし、各地の音楽祭にも参加し、たくさんの弟子に熱心にピアノを教えて世へ送り出したリスト。その活動は衰えることなく亡くなる直前まで続いた。人生の全てをかけて、真の意味で音楽家として生きた人なのである。
個人的には超絶技巧そのものよりも、使う音の圧倒的な美しさに惚れ惚れしてしまう作曲家の1人であります。聴衆を狙った感じが嫌だ、とその華やかさや大衆性を敬遠する声も聞くけれど、美しいものは美しいので、個人的には狙ってやっているとしてもなんでもいいです。曲に性格や人間性がそのまま出るとは限りません。性格が最高に悪くて、周りからも煙たがられている、みたいな人が音だけで人を魅了できる美しい音楽を生み出したって全然良くて。
ピアノで出せる音の可能性をすみずみまで使った壮大な音も気持ち良いですね。ピアノという楽器をよくわかっている人の作品だと思う。
華やかではあるけれど、底抜けに明るいわけではないところがいいのかも……。晩年は僧籍に入るなど、宗教的な信心深さも持ち合わせていたリストですが、プライベートでは女性好きで恋人や愛人が絶えず、スキャンダルを起こしてしまうような人。聖も俗も分け隔てなく(!?)持っていて、非常に人間らしいなあと思います。
弾いてみたい曲が(密かに)いっぱいある作曲家なのですが、なんせ難しいものは難しいわけです。
|ピアノ ソロ
- クリスマス・ツリー S.186 / R.71
- 無調の(調のない)バガテル S.216a/ R.60c
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