S.プロコフィエフ

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セルゲイ・セルゲーエヴィチ・プロコフィエフ
Sergei Sergeyevich Prokofiev
1891-1953

1891年、ロシア帝国南西部(現ウクライナ・ドネツク州)に生まれる。母親から音楽教育を受けたプロコフィエフは幼い頃から才能を発揮し、1904年から1916年の間はサンクト・ペテルブルク音楽院にて作曲・ピアノ・指揮・オルガンを学んだ。この学生生活の間にミャスコフスキー(N.Myaskovsky 1881-1950)やアサフィエフ(B.Asafiev 1884-1949 )という生涯の友人との出会いがあったほか、「現代音楽の夕べ」という催しで自身の作品を演奏し、楽壇デビューを果たすなどした。

ロシア革命後、1918年にはロシアを去り、アメリカへ渡る。その後ベルリン、パリへと移り住み、ロシア外での生活を続けた。この国外生活の間も精力的に作曲活動を続けたプロコフィエフは、交響曲第2番〜第4番、ピアノ協奏曲第3〜5番、オペラ《3つのオレンジへの恋》など、大規模な作品を次々と生み出した。

1935年、世界が不況に陥るにつれ、オペラなど大規模作品の欧米での演奏機会が失われていたプロコフィエフは再びロシアへと向かう。帰国してもなお熱心に作曲活動が続けられ、ピアノ・ソナタ第6〜8番、バレエ《ロメオとジュリエット》、交響的物語《ピーターと狼》など今なお名曲として輝き続ける作品を生み出している。またロシアへ戻ったこともあり、ロシア当局寄りの作品も作られている。多様な音楽活動は映画音楽にもおよび、エイゼンシュテイン監督作品《アレクサンドル・ネフスキー》や《イヴァン雷帝》など、有名な映画作品の音楽を担当している。

順風満帆に見えたプロコフィエフの音楽活動だったが、その後1948年、「ジダーノフ批判」という政府のキャンペーンが起こった。簡単に言うと「前衛的な、分かりにくい音楽を禁止」する活動である。スターリンと、彼の書記であるジダーノフは音楽好きで詳しかったこともあり、自分たちの方針に合わない、理解できない音楽を「社会主義的でない」とし、徹底的に排除しようとしたのだ。プロコフィエフも政府から目をつけられ、7作品が演奏禁止となってしまった。経済的に困窮し、借金を抱え、持病の悪化にも悩まされたが、亡くなる前年に交響曲第7番を完成させるなど晩年もその筆を止めることはなかった。
1953年、脳出血で死去。

プロコフィエフの作品は現代において重要なレパートリーでありながらも、「これ」といった作風がある、と言葉で表現するのは難しい。新しい語法や作曲形式を打ち立てた、前衛的なグループに属した、など、音楽の歴史の中でターニングポイントになっている作曲家ではないからだろう。しかし、彼の作品にははっきりとした特徴を感じられ、聴けば分かるほどの個性が光る。私は和声やリズム、音のぶつかり方から「グロテスク」な作風だと思っていたのだが、プロコフィエフ本人の言葉によれば「冗談、笑い、嘲り」といった「スケルツォ性」であると。なるほど、もちろんこれは一面に過ぎないだろうが、プロコフィエフの作品にある、一種の明るさや快活さはこういった点に起因しているのだろうと考えさせられる。ダークさと輝かしさをあわせ持つ傑作の数々は、プロコフィエフが20世紀の大作曲家であることを裏付けるには十分である。



【Q.好きな曲は?】

mezzopiano )ヴァイオリンソナタ第2番Op.94 bis(フルートソナタOp.94)。最初に知ったのはヴァイオリンソナタの方だったけど、フルート版を聴いたらすっかり虜になって……そっちが好きになってしまった。あぁ、この曲はフルートのための曲じゃないか〜!って(笑)あとは、《子供のための音楽 Op.65》も珠玉揃いですよ。その名の通り子供のための、なんですが、弾きやすくて面白い曲ばかり。私自身も子供の頃プロコと知らずに(もちろん私の不勉強ゆえにですよ)聴いたか弾いたかした曲があるのですが、それがまぁ印象に残ってて、メロディを歌えるんですよね、大人になっても。やっぱり心に刻まれるような曲を書ける、大作曲家たる所以だなと改めて思います。
suketto)ピアノソナタの第2番・第3番・第6番。
mezzopiano )なんで好きなん?
suketto )理由なんかな〜い〜!
mezzopiano )好きなものは好き!だそうです(笑)

|ピアノ・ソロ

ピアノソナタ第1番 ヘ短調 Op.1


ピアノソナタ第2番 ニ短調Op.14


ピアノソナタ第3番 イ短調 Op.28《古い手帳から》


ピアノソナタ第4番 ハ短調 Op.29《古い手帳から》


ピアノソナタ第5番 ハ長調 作品38(第1版)/ 作品135(第2版)


ピアノソナタ第6番 イ長調 Op.82


ピアノソナタ第7番 変ロ長調 Op.83


ピアノソナタ第8番 変ロ長調 Op.84


ピアノソナタ第9番 ハ長調 Op.103


ピアノソナタ第10番 ホ短調 Op.137(未完)


トッカータ ニ短調 Op.11


サルカズム(風刺)Op.17


束の間の幻影 Op.22


こどものための音楽 Op.65

|参考資料

〈楽譜〉

  • こどものための音楽 Op.65/全音

〈webサイト〉