S.プロコフィエフ:こどものための音楽 Op.65

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概要
ロシア革命後、母国を離れて外国で音楽活動を続けていたプロコフィエフだったが、世界情勢の変化もあり1935年に帰国した。この時期のロシアは国策として音楽教育に力を入れており、明快で芸術的に優れている子供のための作品を書く必要があった。そこで書かれたのがこの作品集である。
「プロコフィエフってこんな曲も書けるんだ!」とさえ思う簡潔でわかりやすい書法の上に、多様なリズム、大胆な音を惜しみなく投入してくる。こどものため、と称しているが侮るなかれ……リズミカルで、不思議な響きで、時には抒情的。多彩な12曲が詰まった曲集だ。プロコフィエフ入門、近現代曲入門にうってつけの1冊。
おすすめ
♫1.朝
♫4.タランテラ
♫7.きりぎりすの行進
♫12.月は草原の上にのぼる
曲名難易度YouTube
曲説明・解説・コメント・練習のポイント など
1.朝初級2
演奏時間:2分
“Andante tranquillo”この曲を一言で表している冒頭の指示。ゆったりと、穏やかに、それでいて1日の始まりを感じさせるような推進力も必要。
和音・スラー・反対に、スラーのないパッセージ・テヌートの扱いなど、1つ1つの記号のよく把握し、自分なりに性格づけして弾くこと。例えば、冒頭のテヌートがついた和音。テヌートの付いた音符は基本的には「よく保って」弾く。その前提で、けれども朝の始まりにふさわしい、重たくないテヌートの和音が欲しい箇所。短めのテヌート(なんだか矛盾した言葉だが笑)で弾く?鍵盤を浅くタッチする?指を寝かせる?それとも立てて音を明瞭にする?朝の情景の中でなんの音を表しているのだろう、想像すると色々な弾き方ができる。私はあまり明瞭にせず、2音が続くところはほんの少し前の音を混ぜました。ゆっくりめの打鍵になるように、しかし指は立て気味に、透明な音を目指して。1つ1つの窓に射す朝陽のように、木の葉の間からそぞぐ陽の光のように……
◇演奏について
[5]の16分音符から始まるフレーズ、目覚まし時計みたいだ。だがまだ起きない。気だるいゆったりとした空気の中……[8]でもう一度呼ばれる。(スヌーズ機能付き!?)
[9]右手の8分音符が連続して推進力がある中、左手は少し重々しく、長いスラー。「1歩進んで2歩下がる」ような付点のリズムで、のっそりと世界が目覚めていく。左手が重めなぶん、右手はnon legato気味に軽いタッチで弾くとバランスが取れそう。
[16]告白すると、この小節が1番好きである。何かを躊躇ったような右手のタイ、一瞬盛り上がってはたちまち消えていった左手のメロディー。落ち着いていて、寂しいdolce だ。
[18]伸びをするように気持ちよく付点2分音符を響かせよう。
2.散歩
3.おとぎ話
4.タランテラ
5.後悔
6.ワルツ
7.きりぎりすの行進
8.雨と虹
9.鬼ごっこ
10.行進曲
11.夕べ
12.月は草原の上にのぼる初級2
演奏時間:1分50秒
派手さはないが、穏やかな明るさをたたえた曲である。冒頭のテーマが全体をまとめていて、流れがある。ところどころそこでこの音なの?という箇所があるが、わざと違和感を残しているのか、洗練され切っていない部分なのかどうなのか。
◇演奏について
[1]この右手は[2]からの伴奏につながっていると思うので、そのつもりで演奏する。1小節目だがあまりがつがつと弾かない
[19]テーマが音域を変えて登場。右手が伴奏になるので、右手は音量を絞って弾こう。
[43]〜 右手1拍目・3拍目の8分音符は対旋律になる、ほんの少し目立たせて。